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Dolphins

​~小笠原のイルカたち~

小笠原では、一年中イルカと会うことが出来る。主に、ミナミハンドウイルカとハシナガイルカの2種類だ。

イルカたちの詳しい解説が知りたい方は、ぜひとも回れ右して専門のサイトに飛んでほしい。

ここでは、イルカとの個人的な思い出を書き記したいと思う。
 

ミナミハンドウイルカ

小笠原での通称は「ハンドウ」。

小笠原に行くまでは「バンドウイルカ」と呼んでいたが、島ではみな「ハンドウ」と言うので、今ではそちらの方が言い慣れてしまった。水族館のイルカショーでおなじみのハンドウイルカだが、小笠原の沿岸域に生息しているのは二回りほど小さい「ミナミハンドウイルカ」という種類。小さいといっても、その体長は2~3mにもなり、後述のハシナガイルカと比べてもかなり大きい。となりで泳ぐと、その肉厚な身体に迫力を感じる。

 

小笠原で「遊んでくれるイルカ」といえばこちらのハンドウさん。人への好奇心が旺盛で、機嫌がいいときには自ら近くに寄ってきてくれる。

 

初めてドルフィンスイムを体験したときには、イルカへの興奮と慣れないシュノーケルに慌て、彼らの姿を一目見るだけで精いっぱいだった。回数を重ねていくうちに、多少は余裕をもってイルカに接近できるようになった。初めて彼らと目が合ったときには、それはそれは言葉にできないほどの感動を味わった。

 

さらに回数を重ねると、目が合うことも増え、表情もうかがえるようになる。だんだんイルカの気分や感情が分かるような気にもなる。顔を合わせたときに、私の脳内で再生されるハンドウさんの声は、たいてい無邪気な小学生の男の子だ。『遊ぼ~!』と好奇心にまかせて近づいてきては、『やっぱいいや~』と泳ぎのうまい人のもとへ行ってしまう。切ない。

 

・ハシナガイルカ

快晴の青空の下、ツルツルの凪の海を、数十頭のイルカがのんびり泳いでいるところに遭遇した。ハンドウよりも一回り小さい身体に、細いくちばし。彼らは、小笠原で「ハシナガ」と呼ばれるハシナガイルカだ。

彼らは英語で“Spinner Dolphin”という名の通り、海中から勢いよく飛び出してキレッキレの高速スピンをする姿がよく見られる。アクロバティックな大ジャンプだ。

彼らはハンドウよりも警戒心が強く、人間が海に入っても一緒に泳いでくれることはほとんどないという。なので、このハシナガに出会ったときは、船の上からウォッチングするのが一般的だ。

好奇心は強いらしく、船が起こす波に乗って遊んだり、並走しながらジャンプしたりと、間近で元気いっぱいの姿を見せてくれる。その楽しそうな姿を見ていると、こちらまで嬉しくなってしまう。

 

彼らは興奮すると、普段は白いお腹がうっすらとピンク色に染まる。なんだか人間味を感じるというか、そんなところもまた可愛らしい。飛び上がった瞬間の、キュートなお腹をチェックしてみてほしい。

​イルカに誘われ、海で泳ぐ

私は海に囲まれた街の出身だけれど、小笠原に移住するまで、まともに海で泳いだことがなかった。

海とは、波打ち際で砂遊びとスイカ割りをするところだと思っていた。

“泳ぐ”ということ自体も、水泳の授業でしか経験がなく、それはとても苦痛なものだった。

楽しく「海で」「泳ぐ」なんてことは、自分には起こりえないことだと思っていた。

それが、イルカたちと出会ったことで、「もっと彼らと遊びたい、もっと上手に泳ぎたい」と思うようになった。

そしてイルカを目当てに沖へ行くうち、“海で泳ぐ”ことの快感を知ることとなった(この辺りは別で書きたい)。

いまでは、自分でも信じられないくらいに、「海で泳ぎたい」と思う。

やっと、“海”というものを知ったという感覚。

地球とつながった。

そのきっかけは、イルカたちだった。

白砂の上を泳ぐハンドウ

仲間とはしゃぐハシナガ

小笠原のイルカは、私を、青く透明な夢の世界に連れていってくれたのだった。

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